歌枕「稲城」
ここは 霊地 死者が眠る土地
搾りたての牛乳を もらい受けて 数少ない酪農家の家計を 楽にできたらと 行動する人たち あの広大な 大地に抱かれて 見えぬところで 交流を続ける人よ
百人の村が もしあって そこにいる人達は 死ぬまで 一緒だとしたら ディストピアだろうか それとも また別の理想郷だろうか 生活の知恵を持ち寄り 飲み食いをして 暮らすことに 重きを置けたなら
百村の中にある思い出 飲みすぎた牛乳 無言の圧力を出す父 宙に浮かぶテイッシュペーパー 電子ピアノでの演奏 拾った四葉のクローバー 暗闇と 急な斜面 渡れなかった信号 遊びに行った家の間取り
20数年住んだ押立を離れ 同じ稲城でも 塚戸へ移動した 押立の前は 百村だ なぜだろう 数年後には 地元から離れることを選ばず また違う地名の場所に居る気がする おくのほそ道は 歌枕の地名へ旅をしたが 自分は 同じところを ぐるぐる回るのが好きらしい …