詩「生き物」
火の蜥蜴が ぼくのそばにいて ぼくの 内なるたいまつに 赤々とした炎を 着火させてくれる
カーテンを のそのそと 登り切って しまいには 姿を消した蜘蛛に ぼくは 希望のありかを観る
雀が 近所の 亡くなったお爺さんの アパートの階段を 一段ずつ あがっていく
鳥たちは 種類関係なく 交流し合っているように見える
いつもの公園に行って 野良猫と挨拶をかわし その場所で音楽鑑賞をしていると 蚊に刺される 俺の血はうまいか そうか 子孫たちにも よろしくな
アースジェットをかけると 電光石火で 逃げ惑う ゴキブリよ
壁を乗り越えるのではなく 蜘蛛のように 壁を這いあがり その地点から 周りを見渡すのだ
細くなったふくらはぎをみて 鳥を思い出す 胴体はしっかりしているのに 足はやたら細い あの鳥を
蜘蛛が 今日も 壁に現れた いつも見かけると 挨拶しているのだけど 気づいているだろうか
やもりが この家にいるから 君は きっと 大丈夫だよ
窓を開けてくれと やもりの声がする ぼくは この建物の歴史を感じ取る
自宅に帰ってくると ドアの裏で 蜘蛛がお出迎え ぼくは ただいまと挨拶をして 昼飯を作る