水鳴の人声観~苦楽の中で

自分の中にある言葉を形にしています。最近のマイブームは、鷹揚に、ごゆるりと、です♪

四つ葉のクローバーがもたらしたもの

小学生に上がる前まで、

住んでいた場所がある。

 

そこのアパートは、

狭く、小さかった。

 

今のマンションは、

6・5畳だから、

今に比べれば、

そこの方が、

広いのだけど、

何かしら狭さを感じた。

 

元々、「百村」という地名は、

百個の村があったことが由来だ。

 

どういう風にして、人々が、

住んでいたのか分からないが、

おそらく、和気藹々やっていたのだと

信じたい。(笑)

 

その狭いアパートの前に坂があって、

草むらは、生い茂っていた。

 

ある日、そこの草むらが、

三つ葉の葉っぱであることに気づいた。

 

どうしてそう思ったのか、

テレビで見た知識なのか、

自分は、四つ葉を探し始めた。

 

結果、一枚見つけた。

 

見つかった時は、

とても嬉しかったのを覚えている。

 

今にして思うのは、

こういう経験は、

余人を持って代えがたいということだ。

 

人によっては

四つ葉のクローバーなんて、

俺も見つけたことあるよ、

と言う人もいるかもしれない。

 

ただ、あの時、あの場所で

あの時間帯に、

その僥倖を経験したのは、

間違いなく、

自分ひとりだということだ。

 

自分が兄弟がいないこともあるかもしれないが、

「ひとり」であるというのは、

自分にとって、この世界を、

生きてゆくうえで、

「前提条件」だということだ。

 

だから、

あの時から、

実は、

世界の核心に触れていたのだと思う。

 

ここには俺がいて、

この経験は俺しかしていない、と。

 

そして、その際、

自分で手を動かして、

探し出したものが、

なにより、

自分の心を豊かなものにしていく。

 

今じゃ、その四つ葉のクローバーは、

自分の記憶にしか生きていない。

 

けど、そういう記憶の集積が

その人らしさを作っているのだとしたら、

こんなに面白いことはない。