水鳴の人声観~苦楽の中で

自分の中にある言葉を形にしています。最近のマイブームは、鷹揚に、ごゆるりと、です♪

法螺貝とミル貝

ある県のある市に・・・・・・まぁ何県とははっきり言わない方がいいだろう。

 

おしなべてプライバシーの問題とか世間の目とか、一口にいえば「周りの目」が気になるということである。

 

今日では総じて一人に個人情報が洩れてしまうと、多くの人に知れ渡ってしまう。多くの人はそのため、頑丈に暗証ロックなどをかけ、顔を見せず、匿名で行動を行う。

 

つい最近にも、どこの市だったか、ちょっと忘れてしまったが、マイナンバーという「番号」で、一般市民の個人情報をチェックし、人々を管理する行政サービスが始まり、色々な特典というかメリットを提示された市民たちは、それに従っているそうである。

 

あほら・・・おっと口が滑りそうになった。

 

「あ、法螺貝君だ」

 

「久しぶりだな。ミル貝」

 

法螺貝とミル貝は、旧知の仲である。同じ海に住んでいたかどうかは記憶に定かではないが、きっとお互いに近場の海であろう。

 

「ねぇねぇ、法螺貝君、今日も楽しい嘘ついてよ?」

 

「そうだなあ。ヒヨドリと声量を張り合って負けた話でもしようか?」

 

「うん。それいいね。それ、聞きたい!」

 

法螺貝は、その名の通り、嘘つき男である。ただし、ある漫画にも登場するように、嘘をつく時は、人を不幸に陥れることを言う事はない。

 

ミル貝は、その名前で表されているように、徹頭徹尾、何かを見る、聞く、味わうなどを意識的に行う。

 

「まず、ヒヨドリが梅の木に止まってるのを家のカーテン越しに見たんだ」

 

「うんうん」

 

「そして、ぴいぴい鳴くもんだから、こっちも対抗してやろうと思って、ぴいぴい言ってみた。そしたら、もっと力強い声で鳴くんだね。こりゃ、参ったと思って、こっちも負けずにぴいぴいのトーンを上げてみた」

 

「うんうん」

 

「そしたら、最大音量で、ぴいぴい鳴くもんだから、もうボイスMaxで、ぴいぴいと鳴き返したの。家と梅の木から、二匹のぴいぴいが聞こえるもんだから、何か、その状況がおかしくって、こらえていた緊張感が解けて、笑ってしまった」

 

「それで、負けた、と思ったわけだね。今日の話って、実話っぽい感じがするけど、違うの?」

 

「違う。特にオチはないが。まぁちょっと見分けがつきづらかったかな?」

 

「うん。まぁいいや。そういう日もあるよね」

 

「そうだな。(笑)嘘にも切れがない嘘があるということだ」

 

法螺貝とミル貝のおしゃべりはまだまだ続くのであった。